神奈川県藤沢市
“お客様もほとんど来ませんし、
住むのは二人だけです。
完全に、二人だけのための家にして下さい。“
“二人とも、本が好きです。
漫画、小説、歴史、とにかく活字、
今住んでいる家では、あちこちの部屋に本が積み上がって、
ぜんぜん本棚に収まりきらないんです。“
“料理が趣味です。
夜はちょっとしたおつまみで晩酌が楽しみですし、
休日は一日キッチンにいられれば幸せ。
おいしそうに食べてくれるのも、とてもうれしい。”
“テラスじゃなくて、中で過ごすのが好きです”
“自慢させてください。
この敷地、桜と電車が見えるんです。
ここは、特等席になりますよね、きっと。”
“猫と一緒に住みたいです。
よく、猫カフェに行くんですよ。”
“個室じゃなくていいけど、ここは自分の場所、っていうところは欲しいですね”
“プラモ部屋が欲しいです。思いっきり塗装作業とかしたり”
「二人」というのはもっとも小さな関係の単位です。
すべての関係の基本であるのと同時に、もっとも特殊でもあります。
たとえば同じ風景でも、一人で見るのと二人で見るのでは全然違いますし、
誰もいない窓辺と、「あなた」がいる窓辺はやっぱり別物です。
なんてことない日常でも、
「あなた」がその中にいれば特別なものとなるでしょう。
お互いがお互いを見る、見られる、ということは
そのように「日常」であり「特別」なことです。
そんなことを思いながら、「二人」のための家を考えました。
線路の土手沿い、公園へとつながる緑地。
旗竿敷地で、家と家の間の細い路地を抜けた先に、この家はあります。
窓の開け方、本棚の配置を工夫することで、家の中でも森の中にいるように。
本棚が入り組んだこの家は、不思議と面積よりもずっと広く感じられます。
行き止まりはないけれど、迷子になれるかもしれません。
外断熱を採用し、あらわになる内部の軸組み部分を本棚にして有効活用しています。
内部の壁は珪藻土で、住まい手がDIYで仕上げました。
住まい手の大好きな本がどんどんと増えていき、素敵な「活字」の森になっています。
木造 / 2階建て / 外断熱
所在地 | 神奈川県藤沢市 |
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敷地面積 | 35.8坪(118.34㎡) |
建築面積 | 12.1坪(39.91㎡) |
延床面積 | 22.7坪(75.05㎡) |
設計 | あおいも |
構造 | 有限会社大賀建築構造設計事務所 |
協働・施工 | 株式会社前田工務店 |