東京都新宿区
39㎡、ごく小さな面積のマンションでも、豊かに自分らしく暮らす試み。
奥行を感じる、細長い入口。
入ってすぐ、どこでもごろごろしていいカーペットの床。
音楽が聴ける空間。
窓周りは、奥行のある居場所に。
ベランダとの関係性を変えて居心地よく。
2つしかない窓からの光を、最大限に楽しむ。
光を反射して、奥まで届かせる仕上げ。
お風呂の水の揺らぎ。
目が覚めて、朝の光を感じながら顔を洗いたい。
お風呂を生き返らせる。
食べる人と料理する人が、一緒に囲める
テーブルキッチン。
本棚は自由。キッチンにもなるし、花も飾る。
ちょっとした斜めが、居心地を作るコツだったりする。
ちょっとこもれる書斎スペース。
“〇LDK”と言えない家。ゆるく仕切られながら、扉も行き止まりもない。
ぐるぐると、歩き続けられる。
設計者の仕事場兼、自邸として、マンションの一室をリノベーションしました。既存の間取りは1DK南向き、39㎡。
都市部では特に多くの人が暮らしているマンションですが、経済重視の画一的な間取りや素材は、住まい方に合わせて作られているとは言えません。
この家が「こんな風にも暮らせるのだ」という提案の一つとなればと考えています。
まず、窓がなく暗い浴室やキッチンを明るくするため、間仕切りをすべて取っ払って、大らかなワンルームにしました。
その上で、「小さく、色々な居心地の場所」をたくさん作りました。
設計の肝は、一つの場所に色々な機能を持たせてコンパクトにすることと、それによって用途が決まっていない大きな余白を作ることです。
例えば、大きな本棚はキッチン収納にもなり、ダイニングテーブルにはコンロが埋め込まれ、浴室はリビングの一角にある庭のように、トイレは使う時だけ廊下の一部を借りて拡張させる。何もない余白はただ、日々変化する光を受け止める場所として。
「間取り」を過ごし方や居心地から考えてみると、小さくても機能的で、色々な出来事が起こる家になります。
昼から乾杯しようと遊びに来た友人たちには、テーブルに座ってちょっとつまんでもらいつつ、目の前のコンロではぐつぐつとメイン料理が仕上がっていく。臨場感ある瞬間を一緒に囲めるのは、とっても楽しいですよ。
仕上げにはできるだけ、日本で昔から使われている、自然のものを取り入れました。
漆喰、土や植物の繊維をすきこんだ和紙、漆、柿渋、山桜の一枚板。
都会であればこそ、日常的に自然のものに触れること、遠くに思いを馳せられることは大事だと思います。また、機能性や扱いやすさにも優れていて、自分達の手で仕上げたり、なおしたりできるものも多いです。
職人さんの技術と、住む人の手で仕上がった部分が両方あることで、愛着も増すように感じます。
マンションリノベーション
所在地 | 東京都新宿区 |
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構造 | RC造(既存) |
面積 | 38.97㎡ |
設計 | あおいも |
施工 | 株式会社きよたけ建築工房 |